こんな本を読んだ。
今まであまりインタビュー等を読んでこなかったんだけど、後半のインタビューがとてもよくて
聞き出す人によってこんなに違うんだと初めて知った。
インタビューを受ける人が素材だとしたら、インタビュアーは料理人なんだね。
活かすも殺すも、彼ら次第なんだ。
「質問力」とかいうけれど、それってこういうことね、と彼らの力量というものを見せつけられたような、そういった趣旨の内容ではないけど、妙にこの部分が良かったと印象に残った本。
良かったら読んでみてください。
さて、本題の本だけど、内容的には、「ある事件をきっかけに別れた夫婦が、数年後に再会、その後文通を通して当時の事件の真相などなどを知っていく」というようなお話で、物語は文通のみで構成されている。
男のほうはいけすかないけど、女の人の文章が素敵なのと、彼の語る生と死の間にいた時の経験がなかなか興味深かった。
彼によると、死ぬ間際ひとは自分の犯した罪を走馬灯のように次々と思い出し後悔や罪の意識で身がきりきりと切られるようなおもいをする…とかなんとか。
まるで死ぬまえに、生前行った善悪をはかりにかけられて、裁かれているような、そんな経験をするのだそうだ。(読んだのが数か月前なので、内容が曖昧。)
年初に祖父を自宅で看取ったとき、このことを思い出していた。
最期のほうはずっと悪夢をみているようで苦しそうだった祖父。
肉体的な苦しさはもちろんだが、もし彼の言うように生前の徳と罪をはかりにかけられているのだとしたら、精神的な苦しさをも感じていたのだろうか。
仮にそうだとして、その時認識される徳と罪とはいったいどんなものなんだろう。そしてわたしなら、死ぬ間際いったい何を思い出すんだろう。
そんなふうにいま身に覚えのある罪を、数えたり考えたりしていた。
こういうとき、自分はひどく利己的で冷たい人間だと感じる。
他にはたとえば
飼っていた猫が死んでしまった時も、わたしははじめ全然泣けなかった。
猫が入院している病院から容態がよくないと連絡があって、その向かっている途中、また病院から電話がかかってきた。その時にもう予感していたし、電話を取って話しているわたしと、横で大泣きしている母のことを冷静に客観視している自分がいた。
病院に着いて亡骸をみたときも涙は出なかった。母はまた大泣きしていたし、看護師さんまで泣いていたけど、私のこころは妙に静かだった。
猫を抱いて、うちに帰るときになってようやく泣くことができた。
鳴咽もなく、ただずっと涙が流れていた。
そのあとしばらくは、眠る前はいつも泣いていたけど、家族はたぶん知らないと思う。
こんな風にわたしはいつも一人で泣く。
そうして泣き終わったあとなどによくこのフレーズを思い出す。
なんと、わたしも泣くとすれば哭のほうだ!と、主人公にとても親近感と同情を抱いた。
この本はシリーズもので、これは1冊目からの抜粋なんだけど、シリーズ通して好きだったな。
なんだか本の紹介になっちゃった。
まとまりもなく長くなりましたが、読んでくれたひと有難う。